NHK朝ドラ「あんぱん」5月13日放送分で、健太郎(嵩の友人)とメイコ(のぶの妹)は、嵩とのぶをなんとか仲直りさせたいと策を練っていた。そして、2人を土佐の海辺に呼び出すことにした。
海に呼び出されたのぶと嵩は、最初は固い雰囲気であったが、徐々に打ち解けて、お互いに謝り、仲直りをした。
この時、健太郎が持ってきたギターを弾き、メイコが「椰子の実を」を歌った。メイコは全曲歌い切った。
1番 名も知らぬ遠き島より流れよる椰子の実ひとつ、故郷の岸を離れて、汝(なれ)はそも波に幾月 ~2番、3番省略~ 思いやる 八重の汐々 いずれの日にか国に帰らん
椰子の実の作詞は島崎藤村、友人の民俗学者の柳田国男が愛知県の伊良湖岬を訪れた時、海岸に流れ着いた椰子の実を見つけた、その話を伝え聞いた藤村が創作したものだ。作詞が1900年(明治33年)、その後、1936年(昭和11年)7月、日本放送協会大阪中央放送局の「国民歌謡」の担当者が、作曲家の大中寅二を訪問して、この詩に曲をつけるように依頼して歌曲「椰子の実」が誕生した。
「あんぱん」のこの回の時代背景が1937年(昭和12年)ごろなので、「国民歌謡」として流行していた「椰子の実」をメイコが歌ったのだろうと推測する。現在は「日本の歌百選」に選定され日本を代表する叙情歌のひとつとなっている。また大中寅二本人による混成合唱版、女性合唱版もあり、独唱曲としても多くのクラシック歌手に取り上げられている。また、器楽曲としてもさまざまなアレンジがある。私も5月11日に地元のサークルで、リコーダー四重奏としてこの「椰子の実」を演奏しており、「あんぱん」のドラマの最中にこの歌がいきなり出てきたので驚き、また新鮮な感動を覚えた次第である。